激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

ベリルの亡骸が王宮に運ばれると、
国王夫妻も、夫であるカラムも
息を失ったように立ち尽くすだけだった。

「我が娘が……あの子が……」
王妃は泣き崩れ、
国王は嗚咽をこらえるように口元を覆う。

その場でビンセントは、
静かに一礼し、淡々と必要な指示を出す。

「ご遺体の保護を最優先に。潮の影響を防ぐため、急ぎ葬儀場の準備に入れ……急げ。」

普段は豪快なアズールティアの総督までもが、
膝から崩れ落ちる。
「……俺が……あの時、もっと強く止めていれば……!」

「責めるな。」
ビンセントはその男の肩に手を置き、
低い声で言った。
「災害は誰のせいでもない。」

その言葉に、
総督は男泣きをこぼしながら頭を垂れた。