激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

そんな2人をよそに
大盛り上がりなのが側近たちである。
彼らは善意100%で
“皇帝の恋愛成就を祝う婚約パーティー”
を企画した。

ビンセント本人に伝える前に、
準備は進められ、
豪奢な広間が整えられた。

当然、ルチアは断りたかった。
「その……私、本当に……」
「ご安心を。これは我々からのお祝いですから!」
出ないと言ったら側近たちは大慌てになり、
「陛下の顔が立ちません!」と泣きついてきた。

ルチアはため息をついて頷く。
(……この人たちの面子を潰すのも可哀想だものね。)

こうして彼女は
広間に足を踏み入れたのだった。

ルチアが現れると、
広間の空気が微妙にざわついた。

「まあ、ご立派なドレス……辺境のご令嬢には、さぞ重たいでしょうね」
「どんな手を使って陛下の心を奪ったのかしら?」
「これからは私たちが彼女に頭を下げるのよ。信じられる?」

ひそひそ声は耳に刺さる。
普段のルチアなら、
笑顔で言い返して終わる。
だが今日は――
胸が圧迫されて、
息がうまく吸えなかった。

(私、やっぱりここにいちゃいけない……)
気づけば足が勝手に動き、
広間を飛び出していた。