激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

「ルチア。……俺は、お前を正式に皇妃に迎えたい。」

彼は、広間で、
誰もいない静かな時間を狙って切り出した。
いつになく真剣すぎる顔で。

ルチアの心臓が大きく跳ねる。
(え、ちょ、ちょっと待って…!)

ビンセントは続ける。
「俺はもう決めている。お前のいない未来なんて考えられない。だから……俺の隣に来てほしい。」

グッ、と拳を握る手まで震えている。

皇帝のくせに、
好きな女一人にちゃんと“緊張する”のだ。
それがまたとんでもなく愛おしくて、
ルチアは困り果てる。

しかし同時に――
(このままだと、本当にドラゴニアに縛られる!!)
その恐怖が全身を駆け抜けた。

自然あふれる海の国で生まれ、
姉弟たちと国中を走り回って育った
自由を愛する自分。

何もかもが儀式化され、
雁字搦めのドラゴニア帝国社会は
見えない牢獄のようで恐ろしかった。
ビンセントと結婚するということは、
そんな国の皇后になるということ。
ルチアは冷や汗が止まらない。