激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

夜の寒さから守るように、
しっかりとルチアを抱き寄せたまま
眠ってしまったビンセント。

まだ薄暗い山小屋。 
ビンセントは目を覚ました。
ルチアの寝息が静かに規則正しく響いてる。

ビンセントはうっすら目を開けて──
自分の胸元にすっぽり収まっている
ルチアを発見して固まる。

「……可愛すぎるだろうが。」

普段は豪胆な皇帝なのに、
今は完全に“恋する青年”の顔だ。

ルチアの髪をそっとかき上げると、
寝顔があまりにも無防備で、
胸がキュッとなる。

ビンセントは無意識に
ゆっくりと顔を近づける。

キスまであと 2センチ。
本当に触れる寸前で──
目を覚ましたルチア。

大きく瞬きをする。
胸の上に置かれた自分の手。
その手を覆うように重ねられた、
ビンセントの大きな手。
距離は、息が触れ合うほど――。

そして自分の唇から数センチのところにある、
ビンセントの顔。

「……っ!?」
ルチアの顔は瞬間的に真っ赤になった。

ビンセントは気まずそうに咳払いする。
「……起きたか。」

「い、いま……なに、して……?」
声が裏返るルチア。

ビンセントは目線をそらし、
動揺した声で言う。
「誤解するな。ちょっと……確認しようとしただけだ。」

「何を!?」
「……その……お前が、ちゃんと息をしてるか……とか……」

苦しい言い訳。
絶対キス寸前だったのは明白。