激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

側近たちの仕組んだデート当日。
ルチアは朝から呼び出された。

「本日、陛下より“散策のお誘い”がございます」

「は??なんで??昨日まであんなにバタバタしてたのに??」

とりあえずデートは開始したが──
ビンセントはいつになく
緊張でガチガチだった。

ビンセントはいつもの王としての威厳が消失。
なぜかルチアの前で挙動不審になる。

・髪を何度も整える
・歩幅が分からず、微妙に早くなったり遅くなったり
・手を出そうとしては引っ込める
・無言になると焦って天気の話を始める(普段は絶対にしない)

ルチアはそんなビンセントを見て
クスリと笑った。
(逆に可愛いわ…けど不安定すぎよ)

側近たちは
茂みの陰に隠れながらこっそり見守る。

「おお、なんとか会話が続いている……!」
「陛下、今日は引かれていない!!すごい!!」
「いや、最低ラインを奇跡扱いするのやめてもらえる?」

二人のドタバタデートはなんとか形になり、
夕焼けを背にして
城へと戻る二人。

「今日は……その……楽しかった。また付き合ってくれ。」

「……うん。今日はね、すごく良かったわ。」

いつもより笑っているルチアを見て
“ルチアが嬉しそうなら、俺はなんでもいい”
という顔をするビンセント。

側近たちは遠くで見守りつつ、
デートが成功したことに
嬉し涙を流すのだった。