激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

ファティマの到着に
ルチアがホッとしたのも束の間――
予想外にも状況は悪化する。

ビンセントが素直に謝ってきたのだ。
「……悪かった。本当に。お前の気持ちも考えず独りよがりだった。もうお前を無理に引き留めたりしない。」

ルチアは安心して、
ちょっとウルッとする。

でもビンセントはそのまま続ける。
「だから――俺に、もう一度チャンスをくれ。」

完全に恋する男の目。
逃げられたら死ぬほど後悔する未来が見えてる目。

ルチアの心臓は急にバクバクし始めた。
(ちょっと待ってファティマ!?助けてくれるんじゃなかったの!?)
ファティマにSOSの視線を送るも、
ファティマはにこりと微笑むだけだった。

ファティマの説教が
胸に突き刺さって離れないビンセント。

――「押しつけるだけなんて愛じゃない」
――「彼女の気持ちを大切にしなきゃ」

その言葉を胸に刻んで、
人生初の“慎重モード”で
ルチアに向き合おうとする。

しかし。
慎重にしようとすればするほど
逆に不自然になる。

・距離を取ろうとして逆に不自然な立ち位置に立つ
・丁寧にしようとして敬語になる
・目を合わせられない
・しかし見ていないと不安で、すぐチラチラ見てしまう

「え、なんで今日そんなに距離遠いの?怒ってるの?」
怪訝な顔をするルチア。

「怒ってない!!いや、怒ってないわけじゃ……いや怒ってるわけじゃない!!」
ビンセント本人は
誠実に接してるつもりなのに、
挙動不審すぎて
逆に変な人扱いされるのだった。