激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

ルチアの返答に、
ビンセントは心臓を素手で掴まれたような顔をする。

「……言っただろ、俺に。“行かないで”と。
俺の手を握って、離さなかっただろ。」

「えっっ!?!?私が!?!?」
ルチアはぶんぶん首を振り、
布団をバサァッと持ち上げて顔真っ赤にする。

「えっ、待って、私そんな大胆なことビンセントに!?
ご、ごめん……!!ちょっと熱でおかしかったのよ、多分!」

ビンセント、
目をそらして小さく息を吐く。
(熱のせい、か……。)

でも、口ではこう言う。
「……逃げるなよ、ルチア。」

「に、逃げてないっ。」

「逃げられれば逃げるほど、俺は追う男だからな。
覚えておけ。」
めちゃくちゃ低い声で
脅すような溺愛宣言である。

ルチアは心臓がバクバクしていた。
そして昨夜の“甘える自分”を想像して
布団の中で頭を抱えるのだった。

それからしばらくして。
療養を終えたルチアは、すっかり元気。
鏡を見て、
顔色が戻ったのを確認してホッとする。

――そしてふと思い出す。

「あ、花嫁選抜ってどうなったの?」

軽く聞いたつもりが、
人生最大の地雷を踏むことになってしまった。