激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

翌朝のルチア。
未だ声は少し掠れているけれど熱も下がり、
表情にも生気が戻ってきた。

ビンセントは、
昨夜の“甘えるルチア”をはっきり覚えている。
忘れようにも忘れられない。

(……行かないでって言ったじゃないか。手まで……握り返してきたくせに……。)

もう誰が見ても分かるほど
意識しまくりでルチアの部屋へ。
ビンセントは朝から
ルチア仕様の超・特別扱いモード。

・部屋には彼女の好きな花を侍女に飾らせる
・一番上質な朝食を用意
・医師を二人つけて万全の看護体制を敷く
・ビンセント自身も当然のように同席する

ルチアは起き抜けのふわふわした頭で
「なんか今日のビンセント……距離感おかしくない?」
と本気で首をかしげている。

そう、ルチアは超通常運転だった。

朝食を終えたルチアが、
ちょっと戸惑った顔でビンセントを見る。
「……ビンセント。なんか、今日やけに優しくない?」

「優しいのがなにか悪いのか?」
(声が若干うらみがましい)

「あ、いや……悪くはないけど……え、ちょっと近いって」

ビンセントは距離の詰め方がおかしかった。
(頬を赤らめて頼ってきた昨夜のルチアが忘れられない男)