重いカーテン越しに差し込む朝日が、
まだ眠るルチアの横顔を
淡く照らしている。
ビンセントは、
昨夜握った手を思い出してしまい、
一人で勝手に心臓がうるさくなる。
(……行かないで、か。)
寝ぼけた声で
絞り出されるように言われたあの一言が、
まるで呪いのように胸に残って離れない。
弱っている時でも、
あんな風に自分を求められたのは初めてだ。
彼はそっとルチアの寝顔を見る。
まだ少し青ざめているが、
呼吸は穏やかで、
昨夜よりずっと落ち着いている。
――守りたい。
――手放したくない。
ようやくビンセントは、
自分がもう“花嫁選抜”なんて
茶番を続けられる状態じゃないことに気づく。
ルチアの部屋をそっと後にし、
身支度をすませた後。
彼は執務室に向かった。
徹夜明けのような鋭い目をして、
ビンセントは側近たちの前に立つ。
「花嫁選抜の審査は――もうやめだ。
候補者は全員、国に丁重に返せ。」
あまりに突然の宣言に、
側近たちは一瞬空気が止まったような顔をする。
「ル、ルチア様も……返すのでしょうか?」
恐る恐る問う若い側近。
ビンセントは一瞬だけ言い淀み…
ぷいっと視線を逸らしながら、
低い声で答える。
「……彼女はまだ回復していない。
元気になるまでこちらで養生させろ。」
“養生させろ”なんて言いながら、
彼の耳は真っ赤である。
側近たちは見逃さない。
(殿下……完全に落ちたな……)
一番年長の側近が小声で呟く。
「ついに……陛下はルチア様ただお一人に心を決められたようだ。」
その言葉に、
ビンセントはますます耳を赤くし、
「余計な詮索はするな!」
と声を荒げて部屋を出ていく。
しかし、その足取りはどこか浮き立っている。
――だって、ルチアがあの夜、
確かに自分を求めたのだから。
まだ眠るルチアの横顔を
淡く照らしている。
ビンセントは、
昨夜握った手を思い出してしまい、
一人で勝手に心臓がうるさくなる。
(……行かないで、か。)
寝ぼけた声で
絞り出されるように言われたあの一言が、
まるで呪いのように胸に残って離れない。
弱っている時でも、
あんな風に自分を求められたのは初めてだ。
彼はそっとルチアの寝顔を見る。
まだ少し青ざめているが、
呼吸は穏やかで、
昨夜よりずっと落ち着いている。
――守りたい。
――手放したくない。
ようやくビンセントは、
自分がもう“花嫁選抜”なんて
茶番を続けられる状態じゃないことに気づく。
ルチアの部屋をそっと後にし、
身支度をすませた後。
彼は執務室に向かった。
徹夜明けのような鋭い目をして、
ビンセントは側近たちの前に立つ。
「花嫁選抜の審査は――もうやめだ。
候補者は全員、国に丁重に返せ。」
あまりに突然の宣言に、
側近たちは一瞬空気が止まったような顔をする。
「ル、ルチア様も……返すのでしょうか?」
恐る恐る問う若い側近。
ビンセントは一瞬だけ言い淀み…
ぷいっと視線を逸らしながら、
低い声で答える。
「……彼女はまだ回復していない。
元気になるまでこちらで養生させろ。」
“養生させろ”なんて言いながら、
彼の耳は真っ赤である。
側近たちは見逃さない。
(殿下……完全に落ちたな……)
一番年長の側近が小声で呟く。
「ついに……陛下はルチア様ただお一人に心を決められたようだ。」
その言葉に、
ビンセントはますます耳を赤くし、
「余計な詮索はするな!」
と声を荒げて部屋を出ていく。
しかし、その足取りはどこか浮き立っている。
――だって、ルチアがあの夜、
確かに自分を求めたのだから。



