激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

ビンセントはベッドに歩み寄って、
しれっと、まるで自然な動作かのように
ルチアの手を取る。

手を繋ぐというより、
「包む」感じ。
指先までしっかり絡めるような、
守るみたいな手の握り方。

「もう夜だ。……お前が寝るまで、そばにいる。」
低くて穏やかで、
普段より優しすぎる声。

言われたルチアは、
握られた手の温かさに驚いて、
さらに顔を赤くする。
「……そんな、子どもじゃないわ……」
と言うけれど、
手は全然離さないどころか、
無意識に指先を少し返して握り返してしまう。

その微かな動きを感じて、
ビンセントの胸は一気にドクンと跳ねる。
(……自分から離す気、ないんじゃないか。)

内心ニヤけそうなのを必死に堪えつつ、
静かに座って、
ただその手を包んで寄り添う。

部屋は静か。
外は夜の風の音だけ。

ルチアの瞼がだんだん重くなる。
繋いだ手は温かくて、安心して、離したくなくて。

ビンセントは眠ってしまった彼女の横顔を見ながら、
心の中でそっと呟く。
(……行かないわけがないだろう。)

でも本人に言うつもりはない。
この“甘えられる距離”を
もう少し楽しんでいたいから。