激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

「ビンセント!!!!」

声にならない叫びとともに、
ルチアは迷いなく駆け出した。

ドレスの裾を踏み、転びそうになりながら、
それでも。

(間に合って!)
無我夢中で、彼に飛びつくように突き飛ばした。

「っ……!」
驚いた表情のまま、
ビンセントは床に倒れ込む。

同時に。

ガッシャアアアアアアン!!!
シャンデリアが落下した。

大広間中が震え、叫び声が上がる。
砕け散った水晶片が雨のように降り注ぐ。
煙が舞い、視界が白く曇った。

そしてようやく粉塵が少し晴れた時——
ビンセントの目に映ったのは。

倒れ伏すルチアの姿だった。

幸い、シャンデリアの直撃は避けられたようだ。
しかし——
側部が肩にぶつかり、頭部を打って、
ルチアは動かず横たわっていた。

淡いガウンが破れ、
白い肌に赤い血が滲む。

「……ル、ルチア……?」

ビンセントが震える手で彼女を抱き上げる。

返事はない。

「ルチア!! ルチア!! 目を開けろ……!」
「宮廷医を呼べ!! 今すぐ、至急だ!!」

大広間には絶望と混乱の声が満ちていた。

その中央で、
皇帝ビンセントは初めて——
心の底から誰かを失う恐怖に震えていた。