激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

ルチアは汚れてしまったドレスを
自室で着替える。

(最悪……このドレス、わりとお気に入りだったのに)

今日は何をさせられるのか、
皆目検討もつかない。
けれどどんな課題だろうと、
どこぞの女の罠にまんまとハマったせいで
声が出ない。
今日こそ低評価で脱落だろう。

彼女が姿を見せると、
周囲は驚いたように目を見張った。
みんな、朝の一件を知っている。
まさか出てくるとは思ってもいなかった。

カティア王女は歯ぎしりをする。
(ルチア……朝の一件は警告だったのよ。そのまま大人しくしていれば、何事もなく帰れたのに。そのお顔、二度と皇帝には見せられない悲惨なものになってしまうわよ。)

ルチアは発声を試みるが
やはり悪化している。
口から出てくるのは
ヒューヒューというただの音。

そんな彼女のもとへ
ビンセントが歩み寄ろうとしていた。
その顔はどこか嬉しそうだ。

「ルチア……!」

喉を痛めた彼女に近づこうとした、
その瞬間。

カラン……カラララ……

天井から、不気味な、
まるで金属が軋むような音が僅かにした。

上を見上げたルチアの瞳が大きく開かれる。

巨大なシャンデリアが、
ぐらり、と傾いていた。

(……落ちる!)

シャンデリアの落下地点にはビンセントもいる。
このままでは——二人とも。