激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

ルチアを潰すための罠は
早速仕掛けられた。

大広間での次の審査を控え、
侍女がルチアに飲み物を運ぶ。
下働きの少女はどこか挙動不審だった……
だが、
ルチアは全く彼女を気にしていなかった。

「ありがとう」
そう言って、警戒することなく、
一口、喉に含んだ瞬間。

「……っぐ……!」
熱い針が刺さるように喉が焼け、
ルチアは激しくむせる。
胸元にこぼれた葡萄酒が
淡いガウンを深紅に染めた。

周囲の令嬢たちがざわつく。
「まぁ……下品だこと」
「一気に飲みほそうとするからよ」
「所詮は海辺の島国の姫ね」

ルチアは喉を押さえ、
震える声で言った。
「大丈夫……ただ、少し、むせただけよ」

だが声は掠れてしまっている。
そして喉は焼けるように痛い。
あの飲み物には何か入っていたに違いない。

侍従長が慌てて駆け寄る。
「ルチア様、どうされましたか……?」

「はは……私はどうやら邪魔者みたいね。でもこっちとしても辞退する良い口実になったわ」
彼女は怯むことなく淡々と告げた。

彼女の言葉にはっと顔色を変えた
侍従は泣きつくように言う。
「ど、どうか……!帰らないでください!あなた様がいなくなれば、陛下が……!!」

「知らないわよ、そんなの……!」

呆れ半分、怒り半分。
それでも——なぜか胸の奥がザワついて、
彼女は逃げるようにため息をついた。