この皇帝、
言いながら自分で混乱している。
「他の令嬢たちと話しても、お前の顔が浮かぶ。
どれだけ取り繕っても、どれだけ完璧に見えても……違う。
俺は“皇后としての理想像”なんかじゃなく――」
そこで言葉が止まる。
ビンセントは息を大きく吸い込んだ。
「俺は――“ルチア”が見たい。」
「…………え?」
「皇后としてとか、国益とか、そんなものは関係ない。
お前が怒って、笑って、苛立って、毒舌を吐いて……
そうやって俺と対等に話す姿が……俺は……」
眉間に皺を寄せながら、
苦しげに絞り出した。
「…………好きなんだと思う。」
沈黙が落ちた。
ルチアは目を見開いたまま動けず、
ビンセントは息を詰めて、
彼女の返事を待つ。
ほんの数秒——
だが二人には永遠にも感じられる時間。
ルチアは視線をそらし、
頬にうっすら赤みを差した。
「……そんな真顔で言われても。
戸惑うに決まってるでしょ、バカ。」
その言葉にビンセントは固まり――
次の瞬間、息を吐いて微笑した。
「帰ると言うな。
……せめて、“次の審査までは”残れ。」
「“せめて”なのね。……分かったわ。」
本音は言わない。
けれど、帰らないと決めたのは事実。
ビンセントの瞳に、
露骨に安堵の色が浮かんだ。
言いながら自分で混乱している。
「他の令嬢たちと話しても、お前の顔が浮かぶ。
どれだけ取り繕っても、どれだけ完璧に見えても……違う。
俺は“皇后としての理想像”なんかじゃなく――」
そこで言葉が止まる。
ビンセントは息を大きく吸い込んだ。
「俺は――“ルチア”が見たい。」
「…………え?」
「皇后としてとか、国益とか、そんなものは関係ない。
お前が怒って、笑って、苛立って、毒舌を吐いて……
そうやって俺と対等に話す姿が……俺は……」
眉間に皺を寄せながら、
苦しげに絞り出した。
「…………好きなんだと思う。」
沈黙が落ちた。
ルチアは目を見開いたまま動けず、
ビンセントは息を詰めて、
彼女の返事を待つ。
ほんの数秒——
だが二人には永遠にも感じられる時間。
ルチアは視線をそらし、
頬にうっすら赤みを差した。
「……そんな真顔で言われても。
戸惑うに決まってるでしょ、バカ。」
その言葉にビンセントは固まり――
次の瞬間、息を吐いて微笑した。
「帰ると言うな。
……せめて、“次の審査までは”残れ。」
「“せめて”なのね。……分かったわ。」
本音は言わない。
けれど、帰らないと決めたのは事実。
ビンセントの瞳に、
露骨に安堵の色が浮かんだ。



