激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

そしてついにビンセントが
ルチアと正面から対話することに。

彼女の前に立つと、
ビンセントの顔に一瞬だけ動揺が走る。

「……次は、お前か」
ぼそっと言い捨てるビンセント。

ルチアはすかさず言い返す。
「前から言いたかったんだけど、その“お前”って呼び方やめてくれない?
あなたにとっては取るに足らない小国かもしれないけど、私はこれでもアズールティアの王女なのよ?」

毅然とした物言い。
周囲の令嬢たちは青ざめる。
「皇帝にそんな言い方……!」

しかしビンセントはむしろ、
楽しそうに片眉を上げた。
「……ルチア。」

唐突に名前を呼ばれ、
ルチアは不意を突かれてドキッとする。

「な、なに?そんな急に素直に……調子が狂うわね」

「俺がお前を……ルチア と呼ぶなら、お前も俺を“あんた”呼ばわりするのをやめろ。皇帝なんだからな。」

「……ビ、ビンセント。」

名前を呼び合ったその瞬間、
周囲にいた文官たちがそっと目を見合わせ、
“あの”皇帝の口元が、
わずかに緩んだことを見逃さなかった。