激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

一方その頃――
ビンセントは皇帝執務室にいた。

重臣から報告を受けたビンセントは、
表情を必死に取り繕いながらも、
その手に持っていたペンを
“パキッ” と折る。

「ふん。誰が来ようとかまわん。
……あの女がいようといまいと関係ないからな」
※本当は “落ちてたらどうしよう” と夜中に心配になってた。

重臣たちは安堵しつつも――
心の中では叫ぶ。
(陛下、わかりやす過ぎます!!!!)

招かれた候補者たちは緊張した面持ちで、
広々とした謁見の間へ通される。
半分ほどに減ったとはいえ、
皆まだ「皇后の座」を懸けている。
背筋を伸ばし、
淑女の微笑みを浮かべ、
完璧に装った女性たちが整列する。

ただひとり、
ルチアだけが肩の力を抜き、
周囲を観察していた。

(……この審査が終わったら、今度こそ海の見える我が家に帰れるわね。長旅は疲れたわ。)

そんな“帰る気満々”のルチアの横顔は、
かえって凛として見えた。