激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

◆9 外交式典での“手の甲に口づけ”抗議事件
各国の使節団を招いて開かれる
歓迎レセプションでのこと。

とある南国の使者が
礼儀としてルチアの手を取り、
その甲に口づけした。
その瞬間、
ビンセントの目が、
光を失った獅子のようにギラァとなった。

「……今、何をした?」
ビンセントが低く唸る。

使者は困惑する。
「こ、これは我が国の伝統でして……!」

「二度とするな。帰国後、国王に正式な抗議文を送る。」

それを見ていた各国使節団たちは青ざめた。
(皇后陛下の手に触れた者は外交問題になるのか……!)

ルチアは慌ててビンセントを制する。
「やめてよ! あれは儀礼! 伝統! 文化!いちいち目くじら立てないで!」

ビンセントはいたって冷静に反論する。
「……文化といえど妻の手に触れる必要はない。」
(完全に嫉妬で理性崩壊してる)