激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する

◆5 「ルチア専用の馬車隊」事件

臨月近いルチアが言う。
「最近、馬車の揺れがちょっと辛いの。」

すると翌日。
・衝撃を吸収する特注の座席
・高級羽毛で作られたふかふかの座布団
・ルチア専用の馬車隊
が宮殿前に整列していた。

「最上級の揺れない馬車だ。あと、乗り手は毎日健康診断させる。」
大したことじゃないとでも言うように、
さらりと言ってのけるビンセント。

「そんな運動会みたいに人を集めないで!」
いつもの暴走ぶりに目眩がしてくるルチア。

侍女がこそっとルチアに言う。
「しかも“皇后陛下専用御用局”という部署が新設されまして……」

「局!? 何その名前!!!……もう、ちょっと頭痛がしてきたわ」

「何!?頭が痛いだって!それは大変だ。早く宮廷医を呼べ。念のために産科医と助産婦も……」
途端に狼狽えるビンセント。

(頭痛の原因はお前だよ!!!)
ルチアは心の中で叫んだ。