「触れるな」「選べ」「視られている」
店の最奥…
埃をかぶった黒布の下で微かな光が瞬いた
布を捲るそこにあったのは掌ほどの水晶
濁りのない透明の奥には閉じ込められた
月影のような淡い輝きが揺れているよう
覗き込んだ瞬間
胸の奥がきゅっと締めつけられ…
呼ばれてる?
背後でいつの間にか気配が立っていた。
「それを選ぶとは因縁深い」
振り返ると白髪の店主が微笑んでいて
店主の目は水晶と同じ色をしていた。
結城は何も言わず水晶を握りしめ
ひんやりとした感触が
感覚的に " 生きている " と告げてくる。
薄暗い呪物屋を出た時
夜はまだ終わっていなかった。
『… この水晶を浄化されば』
掌の中の水晶だけは静かに…
結城達の未来を照らしていた


