結城も千紘も契約のことばかりで
明日香チャンの存在を忘れていた。
『愛優は… 愛優は… 千紘、お前悪魔なんだろ?悪霊なんて簡単に退治出来な… 』
「そう言われても明日香チャンは行方を眩ませてる。オルトロス達に探させてはいるけど… ぜーんぜん見つからないんだよね」
『オルトロス… ?』
「俺の飼い犬。ま、暫くはお前と手を組むしか無さそうだ… 明日香チャンの恨みの対象は結城、お前だ。復讐する機会を作ってお前の元に必ずやって来るだろう」
『… 俺を餌に使う気か』
「まーそう言うことになるね。まあまあ、その時に愛優チャンも取り戻せるし一石二鳥ってことで」
『… なあ千紘』
ずっと聞きたかった事がある。
「んー?」
『以前も聞いたけど、どうしてそこまでして愛優のことを… 好きなのか?』
萌チャンの時と言い
なんだかんだ協力してくれる千紘
どうして悪魔なのに人間の手助けをするのか
結城はわからないままでいた。
「俺のこと何歳だと思ってんの?小娘に興味はない。俺は契約通りに動いてるだーけ」
『…契約?』
「結城も何度か会ったことあるだろ?施設に入ってるばばあ」
『由佳サン… 』
「亜由美が悪魔と契約したその後… 俺は俺であのばばあに呼び出されて契約を交わした " 亜優菜を守るように " と」
知らなかった
由佳サンそんなこと一言も言って…
「結城、お前があのばばあから渡された石、それは俺が渡しておいたもの。優樹菜がばばあを何度も殺そうとするから悪魔除けを渡しておいた。まー案の定その玉を結城に渡した時点で御陀仏だけど」
由佳サンが殺されたのは
結城に石を渡したから…
あの時貰わなければ由佳サンは
今も生きていたのかもしれない
それを知らずに俺は…
「ちなみにばばあの魂は契約終了日まで優樹菜に化け物にされないよう保管しておいたからご安心を。俺の獲物だ、譲るわけには行かない」


