秘密な恋愛

​そして迎えたバレンタイン当日。

「喜んでくれるかな」
芽依は朝から、大事そうにお菓子の入ったバッグを抱えて登校した。


​一方の佑陽は、芽依が彼女になってからは
告白されることはなくなったものの、
朝の教室では、数人の女子に囲まれている。

​「佑陽くん、彼女がいるのは分かってるんだけど、チョコだけでも受け取ってね!」

「···あぁ、ありがと」
​半ば強引に差し出されるチョコレートを、
佑陽は無下にできず、
軽い返事をし受け取った。

その様子を見ていた翔多が、
ニヤニヤしながらからかってきた。
「朝からモテるねぇ〜」

「···さすがにこれ以上は食えねぇよ」
​佑陽が翔多にぼそっと漏らしたその呟きを、
偶然、教室の入り口の影で聞いてしまった芽依。

​(どうしよう。お菓子、あげたいけど···)

“これ以上は食べられない”
という言葉が胸に突き刺さる。
せっかく作ったけれど、
今あげたら迷惑かもしれない。
そう思った芽依は、
渡すのを躊躇ってしまった。