秘密な恋愛

その頃。
仕事が思ったより早く終わった佑陽。

(芽依、今何してるかな)
少し迷ってから、電話をかけるも

電話に出ない芽依出。
(出ねぇ···か)
画面を見つめたまま、小さく息を吐く。

もう一度かけるか迷って、やめた。





その頃、芽依は。
スマホをカバンに入れたまま、
気づいていなかった。
カフェを出て、拓海と並んで歩く帰り道。

「あ、このキャラクター!小さい頃流行ったよね?」
ゲームセンターの前で足を止める芽依。
UFOキャッチャーの中には、
昔流行ったキャラクターのぬいぐるみ。

「私、集めてたなぁ」
ガラス越しに懐かしそうに見つめる芽依。
それを横で見ていた拓海は、
無言で財布から小銭を取り出す。

「拓海くん?」
「気が散るから黙ってて」
ぶっきらぼうに言いながら、アームを動かす。


ガシャン。
一発で、ぬいぐるみが落ちる。

「すごいっ!一回で取れちゃった!」
目を輝かせる芽依。

「ほら」
拓海は、何でもない顔で差し出す。
「芽依にやる」

「いいの?ありがとっ!」
満面の笑み。
その笑顔に、
拓海の胸がきゅっと締めつけられる。


(こんなんで喜ぶとか。可愛すぎだろ)
思わず視線を逸らす。