七海を練習に覚った時
俺はもう“落としゲーム”のつもりだけじゃなかった。
なんでだろな。
こいつに触れる度に、妙に胸がざわついて、
落とすってより……
“奪いたい”って気持ちが膨らんでた。
「こっち。立って」
七海が小動物みたいに跳ねる。
ほんと、反応が分かりやすくて……かわいすぎ。
俺は台本を開いて、キスシーンの部分を指でなぞる。
「このシーンの練習する」
「無理です! 絶対無理です!!」
拒否り方が全力で、
逆に笑いそうになる。
(怖がってるくせに、逃げないあたりが七海だよな)
「胸の動きくらい、合わせとくぞ」
腰に手をまわした瞬間。
七海の身体がびくって震えた。
(……っ)
ほんとはそこで離れるつもりだった。
ただ位置を確認したかっただけで……。
なのに、
七海の細い腰に触れた瞬間、
指が熱を持って離れられなくなった。
(……なにこれ。やべぇ)
俺、こんな感覚初めてだ。
「目そらすな。セリフ合わせなんだから」
逃げる七海の顎をそっと持って、
視線を合わせさせる。
怯えたような、泣きそうな、
でも俺を拒否してない目。
(……反則だろ、その顔)
たまんなくて、呼吸がずれた。
「……いくぞ」
七海の唇がすぐそこにある。
練習だから“触れない角度”でやるつもりだった。
なのに。
気づいたときには、
唇が七海に触れていた。
(……っ……やべ)
軽く触れただけで、
七海の小さな息が喉で震える。
その音だけで、
胸がどうしようもなく熱くなる。
(離れられねぇ……)
もう一度、ゆっくり角度を変えて触れた。
七海が震えた。
(かわい……)
その一瞬で、
自分の中の“線”が全部、溶けていた。
練習なんかどうでもよくて、
七海の反応だけが欲しくなっていた。
「……こんなキス、お前にしかしねぇよ」
ほんとに、その通り。
こんな風に触れたいと思ったのは初めてだ。
言ったあと、
俺のほうが心臓バクバクで。
(やっべ……俺、何してんだ)
でも、後悔は一つもない。
七海の目の端に涙がにじんで、
震えた唇に俺の熱が残っている。
(……七海。
お前、俺のこと揺らしすぎ)
指先が触れた頬の温度が、
まだ忘れられない。
「練習……終わり」
強がって言ったけど、
本当は“もう一回触れたい”のを押し殺した。
「……七海、マジ可愛い」
思わず漏れたその言葉に、
七海が真っ赤になって目を逸らした。
(あー……だめだ)
本格的に、
この子に惹かれ始めてる。
落としゲーム?
そんなもんとっくにどうでもよくなってる。
(俺が落とすんじゃなくて……俺が落ちてんじゃん)
でも、それだけは絶対悟られたくなくて、
余裕ぶって笑いながら言った。
「……七海は、俺が落とすんだから」
本当は、
“俺を落とした責任取れよ”
って言いたかった。
俺はもう“落としゲーム”のつもりだけじゃなかった。
なんでだろな。
こいつに触れる度に、妙に胸がざわついて、
落とすってより……
“奪いたい”って気持ちが膨らんでた。
「こっち。立って」
七海が小動物みたいに跳ねる。
ほんと、反応が分かりやすくて……かわいすぎ。
俺は台本を開いて、キスシーンの部分を指でなぞる。
「このシーンの練習する」
「無理です! 絶対無理です!!」
拒否り方が全力で、
逆に笑いそうになる。
(怖がってるくせに、逃げないあたりが七海だよな)
「胸の動きくらい、合わせとくぞ」
腰に手をまわした瞬間。
七海の身体がびくって震えた。
(……っ)
ほんとはそこで離れるつもりだった。
ただ位置を確認したかっただけで……。
なのに、
七海の細い腰に触れた瞬間、
指が熱を持って離れられなくなった。
(……なにこれ。やべぇ)
俺、こんな感覚初めてだ。
「目そらすな。セリフ合わせなんだから」
逃げる七海の顎をそっと持って、
視線を合わせさせる。
怯えたような、泣きそうな、
でも俺を拒否してない目。
(……反則だろ、その顔)
たまんなくて、呼吸がずれた。
「……いくぞ」
七海の唇がすぐそこにある。
練習だから“触れない角度”でやるつもりだった。
なのに。
気づいたときには、
唇が七海に触れていた。
(……っ……やべ)
軽く触れただけで、
七海の小さな息が喉で震える。
その音だけで、
胸がどうしようもなく熱くなる。
(離れられねぇ……)
もう一度、ゆっくり角度を変えて触れた。
七海が震えた。
(かわい……)
その一瞬で、
自分の中の“線”が全部、溶けていた。
練習なんかどうでもよくて、
七海の反応だけが欲しくなっていた。
「……こんなキス、お前にしかしねぇよ」
ほんとに、その通り。
こんな風に触れたいと思ったのは初めてだ。
言ったあと、
俺のほうが心臓バクバクで。
(やっべ……俺、何してんだ)
でも、後悔は一つもない。
七海の目の端に涙がにじんで、
震えた唇に俺の熱が残っている。
(……七海。
お前、俺のこと揺らしすぎ)
指先が触れた頬の温度が、
まだ忘れられない。
「練習……終わり」
強がって言ったけど、
本当は“もう一回触れたい”のを押し殺した。
「……七海、マジ可愛い」
思わず漏れたその言葉に、
七海が真っ赤になって目を逸らした。
(あー……だめだ)
本格的に、
この子に惹かれ始めてる。
落としゲーム?
そんなもんとっくにどうでもよくなってる。
(俺が落とすんじゃなくて……俺が落ちてんじゃん)
でも、それだけは絶対悟られたくなくて、
余裕ぶって笑いながら言った。
「……七海は、俺が落とすんだから」
本当は、
“俺を落とした責任取れよ”
って言いたかった。



