(“好き”だよ……玲央くん)

 七海の震える声が耳に残って離れない。

(……やばい……
 俺……今すげぇ……七海欲してる)

 抱きしめた時、
 七海の体温が胸に触れた瞬間、
 全身の血が一気に熱くなった。

(こんな……苦しくなるほど好きとか……
 自分でも思ってなかった)

 七海は俺の胸に顔を埋めて震えて、
 涙を落とした。

 その涙さえ愛おしすぎて、
 息が苦しくなる。

(泣くなよ……
 そんな顔されたら……
 もっと離したくなくなる)

 七海の背中に手を回した。
 逃げられないように、
 でも壊さないように。

「七海」

 名前を呼ばれただけで、
 七海はまた唇を噛んだ。

(可愛い……
 これもう俺以外の誰にも見せん……)

 七海は気づいてない。
 “好き”を言われた瞬間、
 俺はもう完全に七海のことを手放せなくなった。

(先生とか……
 他の男が七海見るとか……
 もう無理だからな)

 七海の髪に触れて、
 囁く。

「七海……
 お前、俺のになる気ある?」

 七海の肩がびくっと震える。

(こいつ……
 ほんと可愛い)

「もう逃がす気ねぇから」

 本心だった。

 七海の好きという言葉で、
 俺の独占欲は完全に目を覚ました。

(七海……
 俺のそばにいろよ
 ……ずっと)