『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

不意にエルヴィンが戻ってきて、
シルヴィアの手をそっと握った。

「素晴らしい作品だったよ、シルヴィア。
 本当に……胸が震えた」

「え……う、うん……ありがとう……?」

(なんかエルヴィン、さっきから優しさが五割増し……?)
胸がくすぐったくなるような
不思議な気持ちが広がった。

彼女はまだ知らない──
エルヴィンがもう、
作品を手に入れる手続きを済ませたことを。

それを知るのは、個展が終わったあと。
労うようにその絵を抱えて帰ってくる
エルヴィンを見た瞬間だった。