『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

「シルヴィア、あなたの旦那さんって……」

エルヴィンを見つけた瞬間、
リディアは目を丸くし、声をひそめた。

「ちょっと……実物の方がずっとハンサムじゃないの。
 なるほどねぇ。あんなハンサムが隣にいるんだもの、描きたくなるのも分かるわ」

からかうように言われ、
シルヴィアは顔を真っ赤にし、
エルヴィンは軽く咳払いして視線をそらした。

「リディア先生……からかわないでください……」

「ふふ、だって羨ましいくらいよ。こんな愛に溢れる優しい目、絵で再現できただけでも大したものだわ」

シルヴィアやリディアたちが
お客様の相手をしていると、

会場の奥から、
鮮やかな色のワンピースを翻しながら
エラが駆け寄ってくる。

「シルヴィアさん!! もう……すっっっごい! 本当にすごいわ!!」

シルヴィアは両肩を掴まれ、
その勢いに一歩後ずさる。

「わ、わっ……エラさん?」

「白銀の妖精! 私はあなた自身が芸術だと思っていましたけど……あなたの“描き出すもの”も芸術そのものです!!」

興奮した声でまくし立てながら、
エラは作品の前で興奮気味に続けた。