『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

そしてついに、
リディアの個展が開かれた。

個展会場には、
朝から鮮やかな絵画の香りと、
静かな緊張感が満ちていた。
壁に並ぶリディアの最新作の間に、
控えめだが確かな存在感を放つ
シルヴィアの作品 が飾られている。

タイトルは 「光の方へ」。
柔らかな色彩のなか、優しく、そして深く
シルヴィアを見つめるエルヴィンの横顔──。
観る者の胸をなぜだか掴む、
“愛を知る者だけが描ける表情” がそこにはあった。

シルヴィアは緊張のあまり
胸の前で両手をぎゅっと握り締めている。

(この絵を見て、お客さんはなんと思うのかしら。)
(リディア先生の足を引っ張ったらどうしよう。)

そこへ、
エルヴィンとクラウスが姿を現した。