描いた絵をリディアに見てもらい、
アドバイスを受け、修正していく。
そんな日々を重ねていたある日。
「なんだろうなぁ〜悪くないんだけどね。なんかこう……上っ面を描いているというか、綺麗にまとまっているだけというか。魂が伝わってこないのよね。この絵に込められた思いが。」
このリディアの「魂がない」という言葉が
胸にひっかかり、
シルヴィアは数日、まともに描けなかった。
何枚描いてもエルヴィンの“表面”しか描けない。
線は整っているのに、
肝心の温度が、
まるで抜け落ちている。
鉛筆を握りしめたまま項垂れるシルヴィアを見て、
エルヴィンは静かに画材を取り上げた。
「……おいで。今日はもう描くの、やめよう」
優しく手を取られ、
シルヴィアは驚いた顔のまま引き寄せられる。
彼は夜気の澄んだ街へ
シルヴィアを連れ出した。
石畳の上に、月の光がやわらかく落ちる。
静まり返った並木道を、
ふたりで並んで歩いた。
シルヴィアがため息をひとつ落とすと、
エルヴィンは少し笑って、
横目で彼女を見た。
「リディアさんの言葉……気にしてるんだろ?」
「うん……。魂って、どう描けばいいのか分からなくて」
エルヴィンは足を止め、
そっとシルヴィアの肩越しに手を添えて向き直った。
「ねえ、シルヴィア。
俺を描こうとして、"上手く描こう"ばかり考えてない?」
「……っ」
「俺は君に、綺麗な線なんて求めてないよ。
君の目に映る俺を、そのまま描いてほしいんだ。どんな絵でも、君の描いたものなら嬉しいよ。」
そう言う彼の表情は、
まるで壊れ物を扱うように
優しくて、深くて、あたたかい。
アドバイスを受け、修正していく。
そんな日々を重ねていたある日。
「なんだろうなぁ〜悪くないんだけどね。なんかこう……上っ面を描いているというか、綺麗にまとまっているだけというか。魂が伝わってこないのよね。この絵に込められた思いが。」
このリディアの「魂がない」という言葉が
胸にひっかかり、
シルヴィアは数日、まともに描けなかった。
何枚描いてもエルヴィンの“表面”しか描けない。
線は整っているのに、
肝心の温度が、
まるで抜け落ちている。
鉛筆を握りしめたまま項垂れるシルヴィアを見て、
エルヴィンは静かに画材を取り上げた。
「……おいで。今日はもう描くの、やめよう」
優しく手を取られ、
シルヴィアは驚いた顔のまま引き寄せられる。
彼は夜気の澄んだ街へ
シルヴィアを連れ出した。
石畳の上に、月の光がやわらかく落ちる。
静まり返った並木道を、
ふたりで並んで歩いた。
シルヴィアがため息をひとつ落とすと、
エルヴィンは少し笑って、
横目で彼女を見た。
「リディアさんの言葉……気にしてるんだろ?」
「うん……。魂って、どう描けばいいのか分からなくて」
エルヴィンは足を止め、
そっとシルヴィアの肩越しに手を添えて向き直った。
「ねえ、シルヴィア。
俺を描こうとして、"上手く描こう"ばかり考えてない?」
「……っ」
「俺は君に、綺麗な線なんて求めてないよ。
君の目に映る俺を、そのまま描いてほしいんだ。どんな絵でも、君の描いたものなら嬉しいよ。」
そう言う彼の表情は、
まるで壊れ物を扱うように
優しくて、深くて、あたたかい。



