描きかけの紙の上には、
輪郭線だけでもエルヴィンだと分かる
優しい顔が浮かび上がっている。
「ねえ、少し休憩しないか?」
「うん」
エルヴィンが立ち上がり、
シルヴィアの後ろにまわって画用紙を覗き込む。
その距離が近すぎて、
シルヴィアの心臓がバクバクし始めた。
「……すごいよ、シルヴィア。君の瞳は、俺をこんなふうに見てくれてるんだね」
「見てるわ。ずっと」
小さく呟いた言葉が、
暖炉の音に消えかける。
それでもエルヴィンにはしっかり届いた。
「俺も――君の夢を応援してる。君が何を選んでも」
背中越しの声なのに、
まるで抱きしめられているように温かかった。
「……じゃ、じゃあ、続きを描くね」
「うん。君の好きなだけ」
エルヴィンは再び椅子に座り、
今度はシルヴィアが「描きたい」と思ったその表情を、
そのまま静かに保つ。
シルヴィアは鉛筆を握り、
胸に満ちる想いをそっと線に託す。
憧れ、尊敬、愛しさ、未来への希望。
シルヴィアの手は、
そのすべてをエルヴィンの横顔に宿らせていった。
この夜から、
ふたりの距離はまた少し縮まる。
言葉にしない想いを、
キャンバスが受け止め始めていた。
輪郭線だけでもエルヴィンだと分かる
優しい顔が浮かび上がっている。
「ねえ、少し休憩しないか?」
「うん」
エルヴィンが立ち上がり、
シルヴィアの後ろにまわって画用紙を覗き込む。
その距離が近すぎて、
シルヴィアの心臓がバクバクし始めた。
「……すごいよ、シルヴィア。君の瞳は、俺をこんなふうに見てくれてるんだね」
「見てるわ。ずっと」
小さく呟いた言葉が、
暖炉の音に消えかける。
それでもエルヴィンにはしっかり届いた。
「俺も――君の夢を応援してる。君が何を選んでも」
背中越しの声なのに、
まるで抱きしめられているように温かかった。
「……じゃ、じゃあ、続きを描くね」
「うん。君の好きなだけ」
エルヴィンは再び椅子に座り、
今度はシルヴィアが「描きたい」と思ったその表情を、
そのまま静かに保つ。
シルヴィアは鉛筆を握り、
胸に満ちる想いをそっと線に託す。
憧れ、尊敬、愛しさ、未来への希望。
シルヴィアの手は、
そのすべてをエルヴィンの横顔に宿らせていった。
この夜から、
ふたりの距離はまた少し縮まる。
言葉にしない想いを、
キャンバスが受け止め始めていた。



