『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

ロータスの騎士団は、
ウィステリア国民としての偽造身分証を
クラウスに渡した。
見た目も触り心地も完全に本物だ。

クラウスは震える手でそれを持ち、
喉を鳴らす。
「私が……これを……?」

「平民であるあなたが最も疑われにくい。
そして、嘘に少しの真実を混ぜるのです。貴族が平民のふりをしてもすぐに見破られる。」

クラウスは無理にでも頷いた。

二重底の細工が施された馬車に
積荷を入れ替え、
シルヴィアが潜り込む。

エルヴィンは騎士団が調達していた
衛兵の制服を身につけ、
いつの間にか革命派の兵士
そのものの姿に化けていた。

「シルヴィア、必ず再会しよう。だから……今は信じて」
低い声でエルヴィンが言い、
シルヴィアは涙をこらえて微笑んだ。

「ええ……次にエルヴィン様に会うのはウィステリア王国で」