『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

室内には重苦しい沈黙が流れた。
ついに吹き荒れた革命の嵐。
この先どうなるのか、
この国の行方を知るものは誰もいない。

しばらくすると、
エルヴィンたちを呼びに村人がやって来た。
いよいよ逃避行の再開だ。

村人たちが密かに用意してくれた抜け道を使い、
エルヴィン、シルヴィア、クラウスの三人は
再び馬車を走らせる。

後ろはもう革命の混乱。
振り返る余裕などない。
三人の前にあるのは、
新しく彼らの故郷となるウィステリア王国。

エルヴィンは前を見据えたまま言った。
「ここから……本当の危険が始まる。
だけど大丈夫だ。必ず、君を自由な場所まで連れて行く。」

その横顔を見て、
シルヴィアも力強く頷く。
彼の手が、そっと彼女の指に触れた。

ごく軽く。
けれど、誰よりも確かな力で。