『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

「手伝って……いいか?」

その声はどこか掠れていた。
シルヴィアの胸が一気に熱くなる。

「……お、お願いします……」

エルヴィンの手が彼女の背中の紐に触れた。
月の光に照らされるシルヴィアの白い肌。
その美しさに、
エルヴィンの息が止まり、指が震える。

(落ち着け……落ち着け……)

心臓は暴れるように鼓動を打つ。
背を向けているシルヴィアの方も、
同じく震えていた。

「あなたが後ろにいると……き、緊張するわ……」

「……俺もだ」

ふたりの呼吸が少しずつ重なっていく。
ゆっくりと、最後の紐を結んだとき
――思わず言葉が零れた。

「……綺麗だ……シルヴィア」

その声音は、
これまで聞いたことがないほど優しく、
そして熱かった。