『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

「前にも約束しました。私がいるべき場所はエルヴィン様のおそばです。でも……父は……」

ずっと心にあったのは、
遠く離れた父のこと。

エルヴィンは首を横に振り、
優しく微笑んだ。
「心配いらない。君の父上は、すでに王都を離れている。
 実は先日、グラーフ伯爵にお会いしたんだ。」

シルヴィアを安心させるかのように
彼女の手をそっと握り締める。

「俺が、君を必ず守ると……伯爵に誓った。
 安心していい。あなたは、もう何も心配しなくていいんだ。」

エルヴィンの気遣いに
シルヴィアの胸が、じんわりと温かくなる。

父も、エルヴィンも――
いつだって自分の弱さより先に、
自分の幸せを考えてくれていた。

「……エルヴィン様……行くわ。
 あなたと一緒なら……どこへでも。」

涙に濡れた頬を、
エルヴィンが親指でそっと拭った。
「シルヴィア。」

呼ばれた名前が、あまりに優しくて――
胸がぎゅっとなる。

エルヴィンはゆっくりと彼女に顔を寄せた。

「どこで生きようと、俺たちはずっと一緒だ。」
そして紅潮した頬をそっと包み込み、囁く。
「愛している。」

シルヴィアは息をするのも忘れ、
エルヴィンを見つめる。

そして――
二人の唇は静かに触れ合った。