バイロンの奇抜なドレスに
泣きそうになりながら微笑む妻の姿。
身体に合わない布地で肌を傷め、
苦痛に顔を歪める妻の姿。

そんなシルヴィアを見るたびに、
胸が軋んだ。

「もう、我慢はしない」
木箱の上のほこりをはらい、
静かにミシンを机に置くと、
エルヴィンは裁断ばさみを手に取って、
慎重に布を広げた。

布は、彼が一週間かけて選び抜いたもの。
シルヴィアの肌を傷つけない、
極上の柔らかな白布。

誰にも見られない深夜。
彼の大きな手が、
ゆっくりと布を縫い始める。

──彼女のために。
──ただ一着、世界でいちばん彼女に似合うドレスを。

針の動く微かな音が、
夜更けの屋敷に優しく響いていた。