その日、バイロンが持ってきた衣装は、
今までで最も過激だった。

露出の多い薄布。
胸元は大きく開き、
下半身は局部こそ隠れてはいるが、
その他はほとんど透ける。
これはまるで、
夜の街に立つ娼婦のような装い。

「さあ、シルヴィア。これが新時代の象徴だ」
バイロンは目を輝かせ、
興奮しきっている。
「貞淑な白銀の妖精が、恥じらいながらも薄い衣に身を包み、扇情的な眼差しを向ける。今回はこれで行こう!話題独占、間違いなしだ。」

シルヴィアの指先は震え、
唇は白くなった。

――こんなの、着たくない。私は娼婦じゃない。

だが、背後では義母が薄く笑っていた。
まるでシルヴィアを嘲笑うかのように。

「着なさい。あなたには王妃陛下も期待しているのよ」

胸がざわつき、呼吸が苦しくなる。
侯爵夫人から渡された
もはやドレスとは言えないような
布の塊を手に取った瞬間、
シルヴィアの中で何かが崩れた。

逃げなきゃ。今すぐ、ここから――

彼女は脇目も振らず使用人通路を走り抜け、
庭へ飛び出す。
日差しが容赦なく肌を刺すが、
もうどうでもよかった。