シルヴィアが働けば働くほど、
彼は眉間を深く寄せ、
シルヴィアを見る目には
複雑な影が宿っていった。

「その服……お前には、似合っていない」
バッサリと切り捨てるような冷たい声。
シルヴィアの胸の奥に、
鋭い痛みが走る。

周囲からどれほど褒められても、
夫のその一言で心が沈んでしまう。

(どうして……どうしてそんなことを言うの……?)
シルヴィアは知らなかった。

エルヴィンが本当に言いたかったのは、
「照明が強すぎる。お前の肌には危険だ」
「あの男はお前を飾り物のように扱っている。それが我慢ならない」
――そんな、不器用で優しい本音だったことを。

エルヴィンの本音を知る由もないシルヴィアは
エルヴィンに褒めてもらえるように、
もっと美しく見えるように、
さらに派手なドレスや装飾を受け入れていく。

しかしそれは逆効果だった。

煌びやかな宝石が増えるほど、
鮮烈な色彩の布が広がるほど、
エルヴィンの眉間のシワは
さらに深くなっていく。

(やっぱり……嫌われているんだ)

胸の奥で、小さな灯りがしゅるりと消えていく。
喝采に囲まれているのに、
孤独だけが濃くなる。
バイロンに引っ張られ、
義母に急かされるほど、
エルヴィンとの距離は遠のいていった。

――そしていつしか、
シルヴィアは夫の視線が
自分から逸れていくのを感じるようになる。

(どうして……こんなに頑張っているのに)

その思いだけが、
夜の寝室で彼女の胸を締め付けた。