バイロンはさらなる快進撃を続け、
彼がデザインしたドレスは、
ついにシャンタル王妃の目に留まった。

「王妃御用達」という名誉を手にした瞬間、
バイロンの名声は一気に王国中へと広がる。
そしてその成功の中心にいるのは、
――“白銀の妖精”と呼ばれるシルヴィア。

王妃主催の小宴にも、
宮廷の晩餐にも、
バイロンはシルヴィアを当然のように同行させた。

ラノイ侯爵夫人はもはや
完全にシルヴィアのマネージャーで、
「この仕事、良い報酬が出るのよ。もちろん受けるわよね?」
と、金額の話題ばかり。

シルヴィアは困惑しながらも断れない。
自分の知らないうちに
予定だけが埋まっている。
「私が侯爵家の役に立てるのは、これしかないんだ。」
そう自分に言い聞かせ、
無心でドレスを纏い続けた。

「まるで絵本の妖精のようだわ!」
「本当に生きているの? こんなに美しい人間がいるなんて」
最初は嬉しいと思っていた賛辞の声も、
疲労困憊の彼女にはただの雑音でしかない。