この日、
王城の大広間は、
歴史の節目を祝う荘厳な空気に満ちていた。
ウィステリアの国旗が天井から揺れ、
選ばれた客人たちのざわめきも、
式典を前に静まり返っていく。

今日――
エルヴィン・ラノイとエラ・ラングレーは、
ついに国王から
Sir(ナイト)とDame(デイム) の称号を授与される。

ファッション界に革命を起こし、
女性の服装自由化と社会進出の象徴となった
ブランドElara&Lanois。
その功績は、
国境をはるかに越えて
世界に影響を与えた。

国王エドワードが立ち上がると、
場内の視線が一斉に前へ注がれる。
まだ若く、
父ウィリアム譲りの威厳を湛えたその顔に、
誇りが宿っていた。

「エルヴィン・ラノイ、エラ・ラングレー。
あなた方が築き上げたものは、単なるファッションではない。女性が未来へ踏み出すための翼である。
その革新は我が国の誇りであり、世界の希望だ。」

ざわ……と感動が広がり、
胸が熱くなる空気が伝染していく。

国王はゆっくりと剣を掲げ、
エルヴィンの肩に触れる。
「――Sir Elvin Lanois」

次に、エラへ。
「――Dame Ella Langley」

荘厳な拍手が一斉に巻き起こった。
涙ぐむ観客も少なくない。