『ドレスに宿る誓い』―Elara & Lanois 王国を変えた仕立て屋たち―

エルヴィンの心の内を知れないまま、
シルヴィアの知らないところで
次々と舞い込む依頼。
義母の期待も日増しに大きくなっていく。
 
そしてバイロンも、
「私のミューズは君しかいない。私の芸術を表現できるのは君だけだ」と
熱のこもった言葉をシルヴィアにかける。

そしてバイロンのデザインが
人気を獲得していくにつれて、
街中はシルヴィアが身に着けたものと
同じ色のリボンや布が流行していった。

今やバイロンは流行の発信源であり、
シルヴィアは歩く広告塔だった。

あまりにも周囲の環境が変わりすぎたため、
シルヴィアはふわふわと夢を見ているようで、
まるで誰かがかけた魔法の中を
歩いている気さえした。

それは眩しくて、少しだけ嬉しくて――
そしてどこか、心の奥がざわつくような、
不安を孕んだ光だった。