王妃は少し肩をすくめる。
「いつもの仕立て屋に相談したらね、
“女性がズボンなんて”って鼻で笑われてしまって。」

エルヴィンの目が
怒りと情熱でぐっと熱を帯びる。

「そんな時、あなたのブランドのことを知ったの。
“女性が自由に輝ける服を作ってくれる” って聞いたわ。
ぜひ私に——
働く女性たちの未来にふさわしい服を作ってほしいの。」

エルヴィンは胸に手を当て、
深く息を吸った。

その瞳は、
迷いなく王妃をまっすぐに見据えていた。
「……光栄です。 全身全霊で作らせていただきます、陛下。」

アリス王妃の唇が満足げに綻んだ。
「期待しているわ。
あなたならきっと、女性たちの“自由”を形にできる。」

シルヴィアは夫を誇らしげに見つめ、
エラは興奮のあまり手を震わせ、
リディアは「歴史が動いたわね……」と呟いた。

──この瞬間、
Elara&Lanoisは“無名の若手ブランド”から、
“王妃が注目する新星”へと飛躍したのだ。