二人は優秀な成績で服飾学院を卒業し、
早速ブランドを立ち上げることにする。

「まずはブランド名を決めないと！」
そんなエラの一言で始まった
ブランドの名前決め。

これが予想以上に難航した。
語感や由来、
二人の名前を入れる親しみやすさ、
長く残るブランド名か、
などで議論していく。

・Elara & Lanois
・Fleur Libre
・Sérénité Atelier
・ NoirÉclat
・Voile Libre

最終的に5つまで絞り込んだ。

切りくずと布の端が散らかったテーブルをはさんで、
エルヴィンとエラが向き合う。
シルヴィアは窓辺で針仕事をしながら
そっと二人を見守る。
クラウスは紅茶を差し入れ、
空気は緊張と期待で満ちていた。

「なんとかここまで絞ったけど、どれにするべきか」
「うーん、難しいわね」
エルヴィンとエラは相当煮詰まっているようだ。

シルヴィアがぱっと紙を覗き込む。
「わたしは…Elara & Lanois、いいと思う。二人の名前を冠することで、ブランドの理念がすべて込められていると思う。」

エラは沈黙してそれを反芻し、
笑顔を見せた。
「じゃあ、決めだ。Elara & Lanois。私たちの“宣言”ってことにしよう。」

ペンでロゴのラフを向かい合って引くふたり。
クラウスがほほえみ、
シルヴィアは目に涙をためて小さく拍手する。
夜はブランドの未来を祝福するかのように静かで
星だけが輝いている。