そして発表会舞台裏。
緊張で息が詰まりそうなエルヴィンを、
シルヴィアはそっと抱きしめた。
彼女はエルヴィンが魂を注いだドレスを
身に纏っている。

「大丈夫。あなたの服は素晴らしいわ。必ず皆に伝わります。」

ゆっくりと深呼吸し、
シルヴィアはライトの下へ歩き出す。

シンプルなのに圧倒的な存在感。
コルセットで身体のラインを整えるのではなく、
女性が本来持つ曲線美にフィットする仕立て。
凛として、自由で、誰のものでもない女性の姿。

講師も学生も、観客も息を呑む。

――女性が、自由に息をしていい。
――女性は、美しくあるために締め付けられる必要なんてない。

そのメッセージは、
ただそこに立つシルヴィアから伝播した。
エルヴィンの作品は会場を静かに震わせた。

終わったあと、
驚くほど大きな拍手が降り注ぐ。

万雷の拍手の中、
舞台袖に戻ってきたシルヴィアを
エルヴィンは思わず抱きしめた。

「ありがとう……君のおかげだ。俺は今日、初めて“作り手として生きたい”と思えた。」

「エルヴィン様。あなたはもう、立派な服飾家よ。観客の皆様の拍手が聞こえるでしょう。」

そこへ興奮した様子のエラが駆け寄る。
「エルヴィン!!見たわよ、あなたのドレス!あれよ、あれこそ革命よ!!
私、自分の中で確信したの。やっぱりあなたと一緒にやりたいって!」

エルヴィンも頷いた。

「俺もだ、エラ。
一緒に、新しい世界を作ろう。
女性が自由になる服を――俺たちで。」

「ええ!やりましょう!」