「私に、そのお役目をさせていただけますか?」
エルヴィンのお願いより先に、
シルヴィアが問いかける。

「良いのか?でも君は……」

「エルヴィン様はバイロンとは違います。着る人のことを思って、丁寧に作られたドレス。エルヴィン様のドレスを着られるなんて、これほど幸せなことはないわ。」

シルヴィアが自信に満ちた笑顔で答える。

「あなたが“女性を自由にするため”に作ったドレスでしょう?あなたの作品は、わたしが一番よく知ってるの。」

エルヴィンは一瞬言葉を失い、
胸がじんわり熱くなる。
彼にとって、
彼女以上のモデルなど存在しなかった。

「……頼んでもいいか?」

「もちろんです、エルヴィン様。」

その瞬間、決まった。
発表会のモデルはシルヴィア――白銀の妖精。
かつて多くの貴族が魅了された美が、
今度はウィステリアの人々を驚かせる番だった。