ロマンスに、キス




肩に頭を置いていても、どかされる気配はない。
むしろ、コツン、と軽くぶつかる。佐野が、あたしの方に頭を傾けてきたのだと気づく。



「あのさ…佐野。眠い?」


「眠くはない。寝たら授業遅れんぞ」



スマホをぽちぽちしながら、気のない声。そのわりに、返事はちゃんとしてくれる。



「じゃあ、起こして」



そう言った瞬間だった。


ぐーっと、肩に急に重みが乗る。



「…え?」



佐野の頭の角度が変わる。
体ごと寄りかかってきて、あたしの頭が押し負けそうになって――


気づいたら、あたしと佐野の体勢が完全に逆転した。



「ねえ、ちょっと? 何してるの?」


「やっぱ眠い」



ぼそっと言って、スマホを止める音。
次の瞬間、重さがふっと動いて、ひざの上に“置かれる”ようにして佐野の頭がきた。



……なんで?誰が許可した?



呆気にとられて固まっているあたしの太ももに、佐野の黒髪がかすかに触れて、くすぐったい。