ロマンスに、キス




キッと睨むと、佐野は棒読みで言った。



「こわー」



完全にバカにしてる。ほんと、性根からムカつく。



「あたし、この学校では天使で通ってるから。絶対、そのイメージ崩さないで」

「はいはい、わかりましたよー、天使様」



その軽さがいちいち神経を逆撫でする。



「あたしに、そんな口きくの、あんたぐらいだから」

「自意識過剰も、ほどほどにしろよ、お前」



……ああもう、一生喧嘩してる。ほんと無理。性格が合わなすぎる。 嫌い。大嫌い。



「このお菓子もいらないから」



そう言って出て行こうとした瞬間、腕がグイッと引かれる。
振り返ると、佐野が無表情で飴を一個、あたしの手に乗せた。



「これ、うまい。のど飴ならいいだろ」



見たこともないパッケージ。よりによってミント味。



「…美味しくなさそう」

「いいから、食べてみろって」

「…喉痛くなったらね」