「俺から好きになったのなんて、お前が初めてだし」
……なんて言えば、あたしの機嫌がよくなるとでも思ったのか。
まあ、実際あたしの心臓はバカみたいに反応してるわけで、佐野の一言一句にどうしても振り回されてしまうのが悔しい。
「……でも、経験ないなんて、嘘だよね?」
なんて、口にしてしまう。
確認したいのか、否定してほしいのか、自分でもわからない。
あたしは、なんて返してほしいんだろう。
ドキドキしながら待っていると、佐野は拍子抜けするくらい、あっさりして、それは嘘だけど、なんて言う。
ほんとに一回その綺麗な顔を引っぱたいてやろうかと思った。
嘘じゃないよ、って言われたかったのかもしれない。
でも、この佐野に、そんなことはありえない。
第一、高校生にもなって、それを求めるのは、たぶん違う。
頭では、そうわかってる。でも、心は、簡単に納得してくれない。



