昼休み、屋上へ続く階段を上っていると、
「お前、人気者だな」
と、後ろから声がした。
顔だけ向けると、そこには購買の袋と、お弁当袋らしきものを持った佐野が立っていた。
佐野の、人気者だな、には、どうせ嫌みが含まれてる。
睨みつけながら、「何の話?」と聞くと、佐野はあっさりと一言だけ。
「噂」
小さくため息をついて、屋上の扉を開ける。
「……なに聞いたの?」
いつもの定位置に向かいながら、佐野のほうは見ないまま、そう言う。
振り返ったら、負けな気がしたから。
斜め後ろから、佐野の声が落ちてくる。
「男好きとか、彼氏いるのに合コン行ったとか」
「……。」
「俺と、体の関係があるとか?」
「なっ……」
思わず振り返ると、そこには、口角を上げて意地悪に笑う佐野がいた。
バカにされた、というか、何かを企んでる、というか。
とにかく、あたしが一番、イラつく顔だ。



