……理解が追いつかない。怖い、この男。ほんとに。
「な、に? ほんと。怖いんだけど」
すると佐野は、少しだけ眉間に皺を寄せながら言った。
「朝学校来たら、周りうるせーし。聞いたら、お前結構有名人なのな。キスしたこと謝れって言われたから、とりあえずお菓子買ってきた。機嫌直せよ」
……。
あたしの機嫌は、お菓子数個でどうにかなる安いものとでも思ってるらしい。そもそも、キスしたことを他人に話すな。それが一番ムカつく。
そして、あたしはもう2年はお菓子なんて食べてない。
「お菓子、食べないからいらない」
「お前、そんなんだからカリカリしてんだよ」
むかつく。本気で。
「太りたくないの」
佐野は少しだけ首を傾け、こちらを見下ろした。
「太らねーだろ。お前、細すぎなんだよ」
……言い方。褒めてるのか貶してるのかわからない。
いや、どっちにしてもムカつく。


