ロマンスに、キス




「キスだけでいいからさ。一回くらい、やらせろよ」



言葉が、ぐちゃぐちゃで、理解したくない。意味を考える前に、体が拒絶する。



「や、めて……」



声は、掠れて、消えそうだった。

男の力に、叶うほどの力なんて、あたしは持っていない。それ以前に、震えて、体が言うことをきかない。


今までの罰が、当たったんだ。

頭のどこかで、そんなことを考えてしまう。



そうだよね。
あたしが、全部悪いよね。


かわいい顔で、愛想よくして。
期待させるようなこと、してきたんだもんね。


こいつの言う通り。
あたしは、これから先も、誰にも愛されずに、ひとりで死んでいくんだろうな。


そう思ったら、涙が止まらなくて。

でも、不思議と。


――最初から、そういう運命だったんだ。


そんなふうにさえ、思えてきてしまった。


顔だけが取り柄で。いいところなんて、ひとつもなくて。そのくせ、プライドだけは一丁前に高くて。かわいいって言われることでしか、自分を保てなくて。



……それでもね。



こんなあたしだけど。

ほんとは、ずっと、


誰かに、見つけてほしかった。


ちゃんと、見てほしかった。


表面じゃなくて、作った笑顔の奥の、ぐちゃぐちゃの部分を。



こんなあたしでも、好きになってほしかった。