ロマンスに、キス




「……どうせ、顔だけのくせに」


「え?」


「俺、知ってんだからな!お前、年上の彼氏いること!それなのに、佐野ともそういうことしてんだろ!?とんだビッチだな!」



――なに、それ。


一瞬、聞き間違いかと思った。
言葉が、頭の中でうまく繋がらない。


彼氏なんて、いない。今も、これまでも。
いたことだって、ない。
それ、多分、優くんのことだし。勝手に想像して、勝手に決めつけてるだけ。


佐野とは、もう会ってない。連絡だって、してない。
「そういうこと」って、なに。


そもそも。

キスしてきたり、距離を詰めてきたり、触れてきたのは――

いつだって、あっちからだった。


何も知らないくせに。
表面だけ。作られた笑顔だけ。都合のいい部分だけを見て、勝手に決めつけて。


ほんとは、ボロクソに言ってやりたい。


なんで、
なんであたしが。

お前なんかに。
猿以下のやつに。


こんな言葉を、投げつけられなきゃいけないんだ。